Interview インタビュー
聞き手(理事会・以下”理”):
売主の立場からすれば、一番高く売れる最上階を共用部として解放するのはチャレンジだと思うのですが、社内からは反対が無かったのでしょうか。
遠藤氏(以下”遠”):
正直、社内的にはいろんな声がありました。最上階の更に上に施設があるなんて売りづらいとか、パフォーマンスが落ちるのでは、といった直観的な心配ですね。当然、1層を共用部に裂いたとして実際、販売価格がどう動くのか、例えば2階部分に全部集めた場合と最上階に集めた場合等いろいろシミュレーションしたのですが、さほど差は無いという結論になりました。これは1000戸というボリュームとある程度高さがあることから成せる技でして、100戸くらいの規模ですとかなり影響が出てしまいます。こういう施設を構えることが可能なボリューム感ですね。もちろん初期段階では、2階に集めるという案も検討しています。この資料は36階建てで2階に集めたらどうなるか、というシミュレーションですね。コストメリットがあまり出ず、この案は採用しませんでした。
理:
サイコロ的形状というのはあんまり無いマンションですが、他にもいろんな形をシミュレーションしたのでしょうか?
遠:
古い資料ですが、こうしたスタディをしていろいろ検討しました。例えば、500戸づつのツインタワーを45度に傾けるアイデアはありました。左右どっちを南側に出すと、という検討まではしたのですが、総合的に判断すると2棟建てるメリットは「見た目がスリムでかっこいい」だけになってしまいました。2棟にするとお互いの見合い住戸も発生します。また、建物形状はシンプルな方がコストメリットも大きく、そういった合理的にして浮いた部分のコストを共用部の価値に持っていく、そうした方がスケール感も出てきますし、圧倒的に良い。そういった結論になったわけです。それに細く長い形状よりマッシブな方が負荷は小さい、実際のイメージ通りです。
理:
高さの部分を120mとしたのは?最初から決まっていたのですか?
遠:
総合設計と再開発地区の2パターンを考えました。後者の再開発地区という手法は都市計画の網をかける難易度が高いものですが、そちらを選びました。こうした資料を毎週毎週無数に作りながら検討していきました。有明北のこの地区がAP+120mというのも我々が役所と交渉しながら作ったようなものです。
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遠藤 崇 氏
略歴:
東京建物株式会社 住宅商品管理部 商品企画担当
1992年入社
2005年BrilliaMare開発当時 住宅事業部に所属
入社以来マンション開発・企画担当一筋
主な担当プロジェクト:
BrilliaMare有明 / Brillia有明skytower / Brillia有明Citytower / 東京フロントコート / BrilliaGrandeみなとみらい / 品川V-Tower 等